IPOの初値が公募価格を上回る理由

 

抽選で当選すれば、利益を獲得できる可能性が非常に高いIPO株。

その勝率はおよそ90%弱。通常の投資とは比較にならないレベルの勝率を誇ります。

そもそも、なぜIPOの初値が、公募価格を上回ることが多いのでしょうか。

なぜ、こんなに良い株を証券会社がばら撒いてくれるのでしょうか。

そして何故か手数料までも無料。
なるほど、これは間違いなく怪しい。

 

公募価格を上回る理由

結論から言いましょう。これは価格の設定が安すぎるからです。

この安すぎる価格に、投資家の応募が殺到します。
抽選をした上で、当選した一部の人だけがこの公募価格で株を買付できます。
そして上場日には、抽選で落選した人の買い注文が殺到し、公募価格から適正とされる株価まで騰がり続けます。

これがIPOが儲かる仕組みです。

ではなぜ、毎回こんなに安い公募価格にするんでしょうか。

もしや証券会社は、プロのくせにIPOの適正な株価がわからないんでしょうか。

公募価格はどう決めるのか

当然ですが、証券会社はアホではなく、賢い人が緻密に計算し、上場する会社側と協議を重ねた上で価格を決定しています。

価格が決まる要素としては、売上や利益、成長スピードやその会社の事業内容などが挙げられます。

こう言われても、一般の人はあまり予想出来ないと思います。
簡単に言うと、似てる上場企業と同じくらいになるように設定します。

例えば、2018年の12月にソフトバンク(9434)が上場しましたが、その際の公募価格は、既に上場していたNTTドコモとKDDIを参考に決定しています。

もう少し具体的に言うと、PER(株価収益率)が最も参考にされる数値であるとされています。

このPERは、大きければ大きいほど期待値が大きく、高い成長率を求められていることになります。

業種によって大きく異なりますので、気になる方は調べてみると勉強になると思います。

それでも安くするわけ

では、なぜ証券会社はせっかく計算して適正株価もわかったのに、結果的に安い価格にしてしまうんでしょうか。

これには2つ、大人の事情があるからです。
それは

・イメージ戦略
・売れ残りリスク

イメージ戦略

IPOする企業は、証券会社からするとクライアントな訳ですが、「投資家に損失を出させたくない」という部分では完全に意見が一致しています。

会社からすると、価格を上げれば、それだけ調達できる資金も増えるで、そうしたい気持ちも正直あるでしょう。

しかし、せっかく数年間準備して、数億円ものお金をかけて上場するのに、上場初日に投資家を失望させてしまったら、なかなか株価も上がりません。

すると、上場してからの資金調達(債券発行や公募増資)も出来るかどうか怪しくなってきます。
これがスムーズに出来ないとなれば、そもそも上場する必要などなかった訳で、上場の維持費が無駄になってしまいます。

また、証券会社の宣伝効果も期待できます。数億円かけてCMを流すより、主幹事のIPOの初値が3倍になった方が効果があるでしょう。

売れ残りリスク

IPOは応募が殺到するため、毎回抽選となります。
そして、人気のIPOであればその倍率は凄まじい数字となりますが、では逆の場合どうなるのか。

証券会社が適正株価ピッタリに設定しようとした場合、この倍率は1倍を割れることもあり得るわけです。

すると、応募した人が全員当選しますが、余りが発生します。

この余った株、どうするんでしょう。昔みたいに老人に無理やり押し売りする訳にもいきません。

この場合、残った株式は証券会社が全て自腹で購入する必要があります。

売れ残ったIPOは、もはや普通の株式投資以下の魅力しかありません。勝率はせいぜい40%くらいだと思いますが、これを大量に抱えなければならないのです。

 

そもそも会社が魅力的

株価があがる要因として購入する人が増加すると単純に上昇します。

逆に売却する人が多いと株価は下落します。

IPO株の場合は、当選で当たらない限り購入することができません。

今後の注目度が高い銘柄程投資家は購入したくなります。

要は期待値が高いのです。最近はAI・IOT関連のIPOだと上場初日に初値が付くことがなかったりします。

投資家の注目度が相当高いということがわかります。

反対に、IPOの中でも公募割れすることもあります。
そのような銘柄を選択しないようにする為にもどのような企業でどの関連銘柄なのかを調べておくといいでしょう。

 

他にも公募価格を上回る理由として、オーナー・大株主の存在があります。

上場前にその企業のオーナー・大株主は株を保有をしています。

この人たちは投資家ではありません。なので上場当日に株を売却することはほとんどないでしょう。

その銘柄は、上場当日は売却する割合が少なくなり、購入する投資家の割合が増えることで、公募価格を上回りやすいと言えるでしょう。

IPOは他の資産運用に比べると、手間も少なくリスクもないため、初めて投資をする方にもおすすめです。

抽選なので当たらないと始まらないですが、応募もしないと抽選も受けれません。

コツコツ諦めないで行うことがIPO株では重要でしょう。

 

 

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